ウェットスーツ エントリー・システムの歩み
エントリー・システムと聞くと難しそうに聞こえますが、ウェットスーツの着脱方法のことです。現在までの変革をおおまかにご説明します。
1番クラシックなシステムは、背中にあるファスナーで開閉するバックジップ・システムです。当初はありませんでしたが、現在はファスナーの浸水防止に内張りが標準化されています。開口部が大きく脱着が簡単で、上半身だけ脱着できるのが便利です。2枚の生地を首元で交互に重ねて閉じるので、首まわりに隙間ができ浸水しやすいのが難点です。
その後、首回りを大きく開いて着脱するシステムが開発、フラップ(上蓋)で開口部をふさぐノージップ・システム(ファスナーを使わないの意味)が主流になりました。首の太さに合わせた1枚の生地が首の動きと一緒に伸縮するので高い防水性能が特徴です。ワイプアウトした際などフラップ両側の隙間からの浸水が難点です。
10年ほど前に販売が始まったサーフィン用ドライスーツは、ウェットスーツのクオリティを大きく進化させました。首回りに理想的な防水構造が開発され、防水性能が大きく改善しました。セミドライやジャーフルにも同様な防水構造が適用され、軽くて動きやすい素材が開発されました。
もう1つ大きなイノベーションは、数年前から使用され始めた伸縮可能なファスナーです。それまでのウェットスーツ用ファスナーは、目が大きく固いのでバックジップ・システムでしか使用できませんでした。伸縮可能なファスナーは生地の伸縮にも対応するので、様々な場所にファスナーを使用できるようになりました。
胸を横断するようにファスナーが取り付けられたチェストジップ・システムもそのひとつです。開口部が大きく開き脱着しやすいのですが、胸周りにファスナーが長い間隔であるのでパドリング時などに生地の張りや弛みが気になる人も結構います。
伸縮可能なファスナーは、今まで考えたことのないようなエントリー・システムを可能にしてくれます。新しく開発されるウェットスーツが楽しみです。